知的好奇心





高校なんてつまらない。

勉強とか友人とか、青春ってやつには興味が無い。

ただ、強い奴とバスケをする為に通う。

ただそれだけだった。



今日も一日が始まっていた。

朝練での少しの疲労感が早くも俺に眠気を与える。

眠い。

始業の号令でとりあえず一応立つだけ立って、着席。

そしてほんの数秒、視線をやってあの女の不在を確認して机に突っ伏す。

睡魔が容易く俺を吸い込んでいった。



「お、やっと来た」

「おはよ」

は今日も重役出勤か」

「しかも彼氏宅からね」

「羨ましいでしょ?」

「あんた好い加減、ちゃんと来ないと呼び出し喰らうよ」

「呼び出しだけならまだ良いけどが来年後輩になってたら私泣くよ」

「まぁ、今日は来ただけマシでしょ」

喧騒の中から捉える会話。

顔を上げて視線をやるとあの女がいた。

教室に雑音が篭って耳障りだ。

時計に眼をやる。

3時間目まであと6分程度。

もうひと寝入りしよう。



「ねぇ、流川」

聴覚を刺激される。

「おーい。机と宜しくやってないでよ」

顔を上げるとあの女がいた。

伸びをして、軽い痛みを追い払うように首を擦る。

見回してみるとさっきまで賑わっていた教室はガランとしていた。

「誰もいねぇ」

「あんたまだ頭働いてないでしょ? 次、英語」

「あぁ」

「あのねぇ……。今日はビデオ観るの。教室移動なんだってば」

「……あぁ」

そう言われても俺は動き出す気分になれなかった。

ぼんやりと窓の外を眺める。

「ねぇ、行かないの?」

「……」

「サボる?」

笑う気配がした。

は俺の隣に座る。

「あんた良いのか」

「何が?」

「俺に付き合ってて。単位やばいんじゃねぇか?」

「あぁ、良いよ。これでも計算してるから」

「あっそ」

「流川、心配してくれるんだ?」

「別にそんなんじゃねぇ」

「でも寝てばっかりのクセにあたしがいないの知っててくれたんだ?」

「……」

の視線を感じてなんとなく視線を合わせてみた。

は俺らの年頃とは不相応な顔をしている。

顔立ちがじゃない。

表情が。

この女は俺の知らないことをたくさん知っているのだろう。

「流川、あたしが好き?」

「あ?」

「だってそれってそういうことなんじゃないの?」

「……分かんね」

そういうことを俺は何も知らない。

興味が無かったから。

「んじゃ教えてあげる」

顔が近付いてきたと思ったら唇が触れた。

なんだか頭の中がごちゃごちゃに掻き回されるキスだった。

「ね、分かったでしょ?」

悪戯っぽく笑う。

「お前、男いるんだろ」

「うん、一応」

「何だよ、それ」

「流川に色々教えてあげるのも良いかなぁ、って」

そこでチャイムが鳴った。

「お前、授業行けよ」

「……あーあー、つまんないの。今かなり良い雰囲気だったのに。

 普通この流れだともう一度キスして付き合うことになると思うんだけど。

 ま、流川と話せて楽しかったよ」

席を立って、はスカートを翻す。

それに勝手に身体が反応した。

腕を掴んだと自分が理解したときにはもう唇を合わせていた。

「これで良いのかよ」

「……全然。やっぱり流川にはまだ分かんないか」

そう言っては教室から出ていった。

俺はひとり、の後姿を追ったまま佇む。

頭の中はまだ混乱状態が続いていた。

けれどこれだけははっきりとしている。

俺はあの女が知っている、俺の知らない世界を知りたいと感じている。

唇に指を置く。

そこは少しだけ熱を帯びていた。



「あぁ、全然こんなんじゃ分かんねぇよ」














































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